精密根管治療

恵比寿新橋いかわ歯科医院では、精密根管治療を専門に行う経験豊富な歯科医師による治療を受けることができる体制となっています。ご希望の方はご遠慮なくご相談下さい。

精密根管治療担当医

飯野 由子(非常勤)

根管治療を専門に行なっております飯野です。長年在籍した大学病院で、数多くの難症例を治療しました。専門的な知識や技術を身につけることはもちろんのこと、それらを活かした診断力が何より重要だと考えています。診断が違えば治療の効果が得られないのは当然です。それらをできるだけわかりやすく説明することを心がけています。「長期間治療を続けているのによくならない」、「痛みが続く」、という方や、「他の歯で大変な目にあったから次からは専門医の治療を受けたい」、また「歯の神経を残したい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。 

経歴
  • 2005年 雙葉高等学校 卒業
  • 2011年 東京医科歯科大学歯学部歯学科 卒業
  • 2012年 東京医科歯科大学歯学部附属病院臨床研修医
  • 2013年 東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科レジデント
  • 2016年 東京医科歯科大学大学院 歯髄生物学分野博士課程修了(歯学博士)
  • 2016-2018年 東京医科歯科大学歯学部附属病院 医員
  • 2018-2020年 東京医科歯科大学歯学部附属病院 特任助教
  • 2020-2023年 東京医科歯科大学歯学部附属病院 助教
  • 2023年- 都内の歯科医院にて非常勤歯科医として勤務
資格や所属など
  • 日本歯内療法学会 専門医
  • 日本歯科保存学会 認定医
  • 日本環境感染学会
  • infection control doctor

歯内療法とは

歯内療法は、以下の四つの治療に分けられます。

歯内療法
  1. 「歯髄保存」 ⇒ 歯髄(歯の中の神経などのある部分)を取ることなく、残すための治療。
  2. 「抜髄(ばつずい)」 ⇒ 歯髄を残すことが困難な場合に歯髄を取り除くための治療。
  3. 「感染根管治療」 ⇒ 細菌感染を起こして、既に壊死した歯髄を取り除くための治療。
  4. 「再根管治療」 ⇒ 過去に抜髄や感染根管治療を行った歯が、細菌感染を起こした場合に行う再治療。
    ・非外科的再根管治療… 被せ物を外して歯からアプローチ
    ・外科的再根管治療… 歯の根の先に歯茎を切開してアプローチ

歯内療法を行う病気

歯髄炎

歯髄炎は、歯の中心部にある神経や血管が集まった歯髄(しずい)が炎症を起こす状態です。歯髄炎は、主に進行した虫歯や外傷が原因で発生します。初期段階では冷たいものや甘いものを食べたときに一時的な痛みが現れますが、炎症が進行すると、温かいものでも痛みを感じるようになり、やがて何もしていない時でも強い痛みが続くことがあります。歯髄炎には「可逆性歯髄炎」と「不可逆性歯髄炎」の2種類があり、可逆性歯髄炎では歯髄が自然に回復することもありますが、不可逆性歯髄炎は治療しない限り治癒しません。不可逆性歯髄炎になると、歯髄を除去する「根管治療」が必要です。放置してしまうと、炎症が歯の根の先端にまで広がり、さらに周囲の組織に感染が及ぶ可能性があるため、早期の治療が大切です。

根尖性歯周炎

根尖性歯周炎は、歯の根の先端部分に炎症が起こる疾患です。主な原因は、進行した虫歯や外傷によって歯髄が感染し、その感染が根の先端に広がることです。感染が進むと、根尖(こんせん)と呼ばれる歯の先端部分に細菌がたまり、歯を支える骨や周囲の組織にも影響を与えます。症状としては、歯が浮いたような違和感や、噛んだときの痛み、持続的な鈍痛などが挙げられます。進行すると、根尖周囲に膿がたまり、顎や顔が腫れることがあります。この状態を**根尖膿瘍**と呼びます。治療は、根管治療によって感染源である根管内の細菌を除去し、根の内部をしっかりと消毒することが基本です。適切な処置を行わないと、感染がさらに広がり、歯を失うリスクが高まるため、早めの診断と治療が重要です。

歯根破折

歯根破折(しこんはせつ)は、歯の根が折れてしまう状態です。主な原因は、外傷や強い噛み合わせの力、治療中に加わる過度な負荷、根管治療後に歯が弱くなっている場合などです。歯根破折が起こると、根の部分が割れ、痛みや噛んだときの違和感、歯茎からの出血や膿が見られることがあります。破折の位置や程度によっては、治療が難しくなることが多く、特に縦方向に割れた場合は、歯を保存することが困難になるケースが少なくありません。横方向に割れた場合や、破折が根の先端に近い場所であれば、修復が可能なこともあります。治療法としては、破折部分の修復、根管治療、または重度の場合は歯の抜歯が選択されることがあります。歯根破折を予防するためには、定期的な歯科検診で歯の状態をチェックすることが大切です。

歯根吸収

歯根吸収とは、歯の根の部分が溶けて消失してしまう状態です。通常、乳歯が抜ける際に見られる現象ですが、永久歯でも外傷や炎症、過度な矯正力がかかると歯根吸収が起こることがあります。歯根吸収には、外部から始まる「外吸収」と内部から始まる「内吸収」があります。外吸収は、外傷や重度の歯周病によって歯の外側から歯根が溶けていき、内吸収は、根管内部の炎症や感染により、内部から溶けていく状態です。いずれの場合も、初期段階では症状がほとんどなく、歯科検診やレントゲン検査で発見されることが多いです。進行すると歯の安定性が失われ、最終的には歯を失う可能性があります。治療は、歯根吸収の原因に応じて、根管治療や外科的処置が行われますが、早期発見が鍵となります。

根管内器具破折

根管内器具破折とは、根管治療中に使用される器具(ファイルやリーマー)が根管内で折れてしまい、歯の内部に残留する状態です。このような状況は、根管が狭かったり曲がっている場合や、器具が経年劣化している場合に発生することがあります。器具が破折した場合、その破片が根管内に残っていると、治療の進行が妨げられ、感染のリスクが高まります。破折した器具を取り除くためには、マイクロスコープや特殊な器具を使った精密な技術が必要です。場合によっては、外科的な方法で根の先端からアプローチして破片を取り除くこともあります。根管内器具破折が発生した場合でも、適切な対処を行うことで、歯を保存できる可能性は十分にありますが、難易度の高い治療となるため、専門的な技術を持つ歯科医師に依頼することが望ましいです。

穿孔

穿孔(せんこう)は、歯根や根管の壁に穴が開いてしまう状態です。これは、主に根管治療中のミスや歯周病による骨吸収が進行した結果として発生することがあります。穿孔が起こると、細菌が根管内部に入り込みやすくなり、炎症や感染が発生するリスクが高まります。症状としては、痛みや腫れ、噛むときの不快感が現れることが多いです。歯根の穿孔は、早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。治療法としては、穿孔部分を封鎖する特殊な材料を使用した修復が行われます。場合によっては外科的な手術が必要になることもあります。歯根の穿孔が治療されずに放置されると、歯を抜かなければならない場合もあるため、早めの対処が求められます。

根管治療(歯の根の治療)

むし歯が神経にまでたどりついてしまった場合、抜歯と診断されてしまうことが多くあります。しかし、抜いてしまった歯は再生することはありません。

ブリッジ治療をしても、入れ歯を作っても、インプラント治療をしても、ご自身の歯に勝るものではありません。恵比寿の歯医者「恵比寿新橋いかわ歯科医院」では「根管治療(歯の根の治療)」を精密に行い、可能な限り歯を残せるように努力しています。

根管治療を行うケース

このような症状がある方は、根管治療をしなければ歯を残せる確率が少ない場合があります。気になる症状がある場合はお早めにご相談ください。

  • むし歯のある歯の歯茎が腫れている
  • 昔治療した歯がまた痛みだした
  • 根の治療をした部分の調子が悪い

根管治療の種類

根管治療には、「抜髄(ばつずい)」と「再根管治療(さいこんかんちりょう)」の2種類があります。

抜髄(ばつずい)

「抜髄(ばつずい)」は、むし歯が進行し、歯髄(歯の中心の神経や血管などがある部分)に達し、歯髄炎(歯髄が炎症を起こした状態)となってしまった場合に、歯髄を除去(抜髄)し、歯髄のあった根管内部を消毒した上で完全に封鎖し、その上に被せ物をします。この一連の治療を根管治療の中でも「抜髄」といいます。

再根管治療

「再根管治療(さいこんかんちりょう)」は、過去に根管治療を行った歯に残っていた細菌が根管内部で増殖し、炎症を起こし、根の先端の部分に膿をもつなどした状態(根尖性歯周炎)になった場合、再度、感染部分を除去し、根管内部を消毒して、完全封鎖して、その上に被せ物をする治療です。 

マイクロエンドサージェリー(外科的歯内療法)

根管治療で治癒しない場合に行う外科的な治療 

マイクロスコープを用いて、どんなに丁寧に根管治療を行っても、成功率100%にはなり得ません。通常の根管治療を行っても治癒しない場合には、 マイクロエンドサージェリー(外科的歯内療法)を行います。マイクロエンドサージェリー(外科的歯内療法)では、外科的に歯の根の先端を3mm程度切除します。マイクロスコープ(歯科用実体顕微鏡)を用いることによって成功率の高い治療が可能となります。

マイクロエンドサージェリー(外科的歯内療法)の流れ

1.CTで病巣の大きさや位置や歯根の状態を確認します。
2.麻酔をして歯肉を切開します。
3.病巣と歯根の先3mm程度を除去します。
4.歯根の切断面を封鎖して切開した歯肉を縫合します。

恵比寿の歯医者「恵比寿新橋いかわ歯科医院」の精密根管治療

①. 歯科用CTによる精密検査

歯科用CTを使用することで、精度の高い診断が可能となり、より成功率の高い治療が行えます。歯科用CTでは、顎の骨の立体的な形状、歯と神経の位置関係、骨の密度まで、治療前に把握することが可能となります。歯の根の中の神経や血管がある「根管」は非常に複雑な形態をしていますが、CT撮影をすることで、根管の形態、根のひび割れがあるかどうか、根の先に膿があるかどうか等、病巣の状態も正確に把握できます。

3Dエンド治療(根管治療)

CTと専用のソフトウェアによって、歯内治療を行う上で重要となる、根管内の詳細な情報をにより、信頼性に優れた治療計画を簡単に立てることが可能です。360°ビューを含むアクセス始点と根管の形状、深さを正確に可視化することで歯内治療をデジタルにてサポートされるシステムとなっています。また、ガイド付き根管アクセスガイドが作製可能なため、治療根に対し、数ステップで、より信頼性の高い治療結果を効率的に得ることが可能です。 

②. マイクロスコープの使用

マイクロスコープによる拡大視野下で治療

恵比寿の歯医者「恵比寿新橋いかわ歯科医院」では、マイクロスコープ(歯科用実体顕微鏡)を使用して、複雑な形状をしている根管を、最大20倍の拡大視しながら治療を行います(精密根管治療)。根管治療では、細菌に感染した神経や血管などを根管内部から除去し、根管内を洗浄・消毒してから薬剤を注入して密閉・封鎖する治療ですが、根管はとても複雑な形状をしており、根管内に少しでも細菌を残してしまうと再発するため、肉眼での手探りのような治療には限界があります。

精密な治療で再発リスクを低減

しかし、マイクロスコープを使用することで、根管内部を光で照らし、拡大視野で治療できるので、しっかり目で見える状態で除去できます。このことは再発リスクの低減につながります。
さらに歯科用CTにより根管の形態も正確に把握できるようになり、歯科用CTとマイクロスコープの併用により治療の成功率は飛躍的に向上します。

穿孔などの事故を避けるために

また、マイクロスコープを使用せず、「経験」や「勘」に頼って治療することは、ファイルという尖った器具で根管を突き破る「穿孔(せんこう)」を起こしてしまうことも少なくありません。そのような状態で歯科医師が気づかずにいて、後に再発し大変なことになってしまうようなこともあります。このようなリスクを低減するためにもマイクロスコープを使用した精密根管治療が大切になります。

アメリカでは義務化

アメリカでは、根管治療の専門医にはマイクロスコープの使用が義務づけられており、その必要性が認められていますが、日本では歯科医院全体の約2%程度しか普及していないといわれています。

③. ラバーダムによる防湿(必ず行います)

「ラバーダム」とは、歯の周辺組織を歯から隔離するための隔離シートです。根管治療では「0.01ml」の唾液が根管に入っただけでも治療は失敗に終わるといわれており、根管治療の成功と再発リスクの低減には「無菌状態」で治療を行うことがとても大切です。保険の根管治療の成功率が低い理由の一つといえます。また、ラバーダムの使用は、接着性レジンなどのくっつきがしっかりとなされることにつながります。湿った状態では、接着に良い環境ではないことは想像に難くないと思います。恵比寿の歯医者「恵比寿新橋いかわ歯科医院」の根管治療では必ずラバーダムを使用します。

④. ニッケルチタンファイルの使用

根管治療では、感染した歯髄を除去するため「ファイル」と呼ばれる先端の尖った器具を使用します。保険治療では「ステンレスファイル」が使用されていますが、恵比寿の歯医者「恵比寿新橋いかわ歯科医院」の根管治療では必ず「ニッケルチタンファイル」を使用しています。

一般的に使用されているステンレスファイルは、柔軟性が足りないため、曲がりくねった根管の形態に沿って曲がらず、根管を壊してしまうこともあります。しかし、ニッケルチタンファイルでは、柔軟性に富み、曲がりくねった根管内部の清掃に適しており、また、ファイルの破折のリスクも抑えられます。また、保険治療では、毎回ファイルを使い捨てすることは難しい現状もあるかとおもいます。自由診療の精密根管治療では、高性能のニッケルチタンファイルであっても、患者様毎に使い捨てとなります。

⑤. 次亜塩素酸ナトリウムによる根管洗浄

根管治療ではファイルを使用して根管内部の感染した神経や血管などを除去します。同時に根管内壁も少しだけ削りますが、その際に出る細かな粒子は細菌に汚染されているため除去する必要があります。従来の治療では薬を詰めるだけで終わりますが、恵比寿の歯医者「恵比寿新橋いかわ歯科医院」の精密根管治療では「次亜塩素酸ナトリウム」という薬剤を使用し、根管内部をしっかり消毒することで再発リスクを抑えます。

⑥. MTAセメントの使用

再治療を繰り返した根管では、根管そのものの形態が度重なるファイルの使用によって破壊されてしまっている場合もあります。このような場合、根管を補修する必要があるのですが、これまでの治療では良い補修剤はありませんでした。しかし恵比寿の歯医者「恵比寿新橋いかわ歯科医院」では「MTAセメント」を根管の修復に使用しています。MTAセメントでは、歯髄にむし歯が達していた場合でも軽度で炎症を起こしていない場合、歯髄を保存することも可能なことがあります。